director's voice

榎並伸太郎さん(陶芸)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
榎並伸太郎さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
僕の作品の中で1番最初に完成したのが、リム皿でした。
平らな器で流線の鎬模様がどうしたら美しく見えるのか何度も考えました。
リムの部分に段をつける事で、模様がより浮き出て見え、光が当たった時に陰影がはっきりと現れる工夫をした作品です。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
茶漉し付きのマグカップです。
学生時代上海に留学中に茶漉し付きのマグカップを見た事がありました。
当時は陶芸家になるなんて思っても見なかったので、あんまり意識して器を見る事がありませんでしたが、いざ自分が陶芸家になってオリジナルの器を考えてる時に、あの時見た茶漉しの付いたカップが淡い記憶で蘇り、自分なりに作ってみました。
1人でお茶を飲む時にとても便利で、お気に入りの作品です。

Q3
榎並伸太郎さんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
器を削る為の道具です。
僕は器を作る工程で1番好きなのが削りの作業で、削る事でより自分の理想の形に近づき一気に愛着が湧く瞬間です。
形状に応じてさまざまな鉋や彫刻刀を使用し、種類が豊富です。
包丁のように常に切れ味のいい状態をキープするために、いつもしっかり研いで大切に使っています。

信楽で作陶する榎並伸太郎は、大谷哲也さん、桃子さんの工房の「弟子1号」!として励み、今年独立したところ。
自らの名を冠して器を発表する初めての年に「工房からの風」に応募くださいました。

大谷さん夫妻が「スタッフ」ではなく、「弟子」として若手を迎える形を取られたのは、現代において「工藝作家」という生き方に進む人を育てていきたいからだと伺いました。
もちろん大変なことはたくさんあるけれど、手ごたえ豊かなすばらしい人生を拓いていくことができると実感されているからだと思います。

そんなあたたかな心映えのもとで、技術と思考を学んだ榎並さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入ってレンガ道を入った中央あたり。
インスタグラムはこちらになります。
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また、工房での制作光景はこちらからご覧いただけます。
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映像編集:いとうゆり

追記
10月25日(土)14時から、大谷哲也さんと、ディレクターの稲垣早苗によるトークイベントを開きます。
詳しくは、あらためてお知らせいたしますね。